自己破産手続きの流れ~自己破産後の生活はどうなる?~
「自己破産」とは、債務者自身が裁判所に申し立てる破産のことで(破産法18条)、すなわち、借金等の債務の支払いが不能となったときに、裁判所に認めてもらうことで、借金を弁済する義務を免れることができます。
自己破産には、「少額管財」と「同時廃止」という2種類があります。
少額管財とは、自己破産する人に33万円以上の現金や20万円以上の価値のある資産などの高額財産がある場合や、免責不許可事由がある場合に、裁判所から選ばれた破産管財人が財産や免責不許可事由の有無を調査する手続です。同時廃止とは、自己破産をする人に、33万円以上の現金や、20万円以上の価値のある資産などを有していない場合で、かつ、免責について破産管財人が調査する必要のない場合に、破産手続開始決定と同時に破産手続を終了し、免責手続のみを行う手続です。この同時廃止は、申立てから3〜4ヶ月程度で完了することができます。
自己破産手続は主に①〜⑤の手順で行います。
まず、①弁護士に相談するところからスタートします。自己破産手続を行うには、債権者との交渉や、書類準備を行う必要があるので、法律の専門家である弁護士や司法書士と相談しながら行うことが大切です。弁護士費用は、多くの場合、分割払いに応じてくれるため、支払い方法については相談してみることをおすすめします。
弁護士を選任したら、その弁護士が、②受任通知を送付します。本人と委任契約を締結した弁護士は、お金の貸主である債権者に対して受任通知を送付します。この受任通知を送付することで、債権者からの督促や取り立てがなくなり、精神的な負担が軽減され、非常に大切なステップといえます。
そして、③書類作成等の申立て準備を行います。必要となる書類は多岐に渡り、申立書だけでなく、住居に関する書類、収入に関する書類、財産に関する書類などが必要になります。必要な書類を適切に収集し、記載をするには、法律知識のある弁護士、特に債務整理に明るい弁護士でなければ、容易に行うことはできないため、債務整理と得意とする弁護士に依頼することが大切といえます。
必要な書類を収集し、裁判所に対する申立を行ったら、④裁判所と面接をし、自己破産手続の開始決定を受けることになります。この面接は、本人、弁護士、裁判官の三者で行われます。問題なく面接を終えたら、裁判所から破産手続開始の決定がされます。
そして、最後に、⑤免責確定となります。上記の自己破産手続の開始決定を受けただけで、返済義務を免れることができるのではなく、裁判所から免責許可の決定を受けなければ、返済義務を免れることはできませn。再び弁護士と共に裁判所に出頭し、面接を行い、免責許可決定を受けます。例えば、免責を受けるために、財産隠しを手続において行っていたことなどが明らかになると、この免責許可決定を受けることができなくなります。
以上が、自己破産手続の流れです。これらのような手順を踏むことで、借金を免れることができますが、一方でデメリットも存在します。
例えば、信用情報に事故情報として登録されることになります(いわゆるブラックリスト)。自己破産をすると、破産手続の開始から10年間ほどブラックリストに登録され、ブラックリストに登録されると、新たにお金を借りたり、ローンを組んだり、クレジットカード新たに契約することができなくなります。
さらに、生活必需品を除いた財産が処分されてしまうことになります。自己破産をすると、財産の処分をする必要があります。もっとも、全ての財産を処分する必要はありません。生活に必要最低限の財産は「自由財産」として、処分する必要ありません。
自己破産手続をすると、上記のような生活上のデメリットがあるといえます。デメリットをよく理解した上で、自己破産を行うかを判断する必要があります。
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羽田野 桜子はたの ようこ
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福岡県立修猷館高校卒業
一橋大学法学部卒業
九州大学法科大学院修了
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