公正証書遺言の効力|無効になるのはどんなケース?
遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。
本ページでは、中でも公正証書遺言の効力や無効となるケースについて詳しく解説をしていきます。
◆公正証書遺言の効力
公正証書遺言は、効力自体は他の遺言書と違う点はありません。
しかしながら、公正証書遺言はその作成の方式ゆえに、他の遺言書と比較して大きなメリットが存在します。
まず、遺言書には必ず記載しなければいけない事項や、訂正の際の決まり事などがあり、これらに不備があった場合には、効力を生じません。
しかしながら、公正証書遺言であれば、公証人と呼ばれる法の知識をもった専門家が作成に携わるため、不備が発生することはありません。
また、公正証書遺言は作成後に公証役場にて保管をしてもらうことができるため、遺言の内容を第三者が改竄したり、偽造、破棄をするというおそれがありません。
◆公正証書遺言が無効になる場合
公正証書遺言は方式の不備で無効となることはないという説明をしましたが、以下で説明するような事項に該当した場合、その効力が無効となってしまいます。
●遺言能力がなかった場合
遺言者が遺言をする場合には、遺言能力が必要となります。遺言能力とは、遺言の内容やその影響の範囲を理解することができる能力を指します。
遺言能力がなかった場合の典型例として挙げられるのが、遺言者が認知症を患っていたような場合です。
特に遺言の内容に納得できない相続人が、遺言者が認知症であったことを主張して、遺言の効力を争うことは少なくありません。
●証人が不適格であった場合
公正証書遺言を作成する際には、2人以上の証人の立ち会いが必要となります。
そして証人にも適格があり、未成年者、推定相続人、遺贈を受ける者、推定相続人及び遺贈を受ける者の配偶者及び直系血族等は証人となることができません。
上記に該当する者の立ち合いのもとで行われた遺言については無効となります。
●口授を欠いていた場合
公正証書遺言を作成する際、遺言者は遺言の趣旨を公証人に口授しなければなりません。口授とは口頭で述べることを指します。
喉の病気などで発話ができない遺言者の場合には、公証人の面前でその趣旨を筆談するか、通訳人の通訳を通じて申述することで、口授に代えることが可能となっています。
●詐欺、強迫、錯誤があった場合
詐欺、強迫、錯誤によって行われた遺言は、民法総則の規定によって取り消すことができます。
もっとも、遺言の内容については、遺言者が生存中であれば、遺言者の一存によって撤回したり、新たに遺言を作成することができますが、死後どのように扱うかが難しい問題となります。
遺言者が既に亡くなってしまっている以上、強迫や詐欺の事実を立証するのは非常に困難であり、詐欺、強迫、錯誤の有無をメインとして争われることはあまりありません。
●公序良俗違反
これは上記までの作成の方式というよりも、遺言の内容に関するものとなります。
配偶者がいるにもかかわらず、他の交際相手に全財産を遺贈するといった内容の遺言が典型的なケースとなっています。
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羽田野 桜子はたの ようこ
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福岡県立修猷館高校卒業
一橋大学法学部卒業
九州大学法科大学院修了
2009年 弁護士登録
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