養育費の時効は何年?時効の更新をする方法は?
ひとり親としてお子様を育てることとなった方にとって、お子様をしっかり育てるために欠かすことのできないものの1つが養育費です。
養育費は子どもを監護する親が有する権利です。
もっとも、時効期間の経過によってその権利がなくなってしまうことがあります。
本稿では、養育費の定義、養育費が時効となる時期、時効を更新する方法について、詳しく解説いたします。
養育費について
養育費とは、子どもが経済的・社会的に自立するまで必要な監護や教育のための費用のことで、子どもの衣食住に必要な経費、教育費、医療費などは全て養育費の対象となります。
子どもを監護している親は、他方の親から養育費を受け取ることができますが、離婚によって親権者ではなくなった親であってもこの支払い義務を免れることはできません。
養育費の金額や支払い期間については父母間での協議によって決めていくことが通常です。
協議の際には客観的な資料を元にすると円滑に合意形成が図れるかと思いますので、家庭裁判所が公表している養育費算定表等を活用することをおすすめいたします。
養育費に関する話し合いがまとまらない場合や、相手が話し合いに応じない場合には家庭裁判所の家事調停手続や家事審判手続を利用して金額等の決定を行うこととなります。
養育費の時効は何年?
養育費は、権利者が権利を行使することをできることを知った時から5年間行使しないと、時効により消滅します(民法166条1項1号)。
また、権利行使をすることができることを知らなかった場合であっても、権利行使をすることができる時から10年間その権利を行使しないことにより、時効によって権利が消滅します(民法166条1項2号)。
各月の養育費請求権については、原則として、毎月の支払日から5年を経過すると消滅することとなります。
なお、調停や審判、裁判上の和解などによって養育費請求権が確定している場合には、時効期間が5年から10年に延長されます。
もっとも、この時効期間の延長の対象となるのは、判決時にすでに支払うべきであった未払分の養育費のみであり、その後の養育費に関しては通常通り5年間の時効期間となりますので注意が必要です。
さらに、養育費が一切支払われなくなった時から10年間が経過すると、養育費をもらう権利そのものも時効によって消滅してしまうため注意が必要です(民法168条1号)。
養育費の時効を更新する方法は?
養育費の時効を更新する方法には以下のようなものがあります。
①相手方に対して請求をする
ここでいう請求とは、裁判上の請求のことをいいます。
養育費分担調停の申立てや離婚訴訟の提起における附帯処分としての養育費の申立てを行うことによって請求を行います。
②差押え、仮差押え又は仮処分
文字通りの差押えで、相手方の給料を差押えることが一般的です。
③承認
承認とは、養育費の支払い義務者が支払い義務の存在を認めることをいいます。
相手方と交渉をして、支払い義務を認める書面や誓約書を作成するといいでしょう。
④催告
催告とは、養育費を支払えと相手方に求めることをいいます。
催告を行う際には、口頭で行うのではなく、証拠に残る内容証明郵便等によって行うようにしましょう。
離婚に関するお悩みは弁護士 羽田野 桜子(羽田野総合法律事務所)にお任せください
本稿では、養育費の定義や養育費が時効となる時期、時効を更新する方法について解説いたしました。
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羽田野 桜子はたの ようこ
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福岡県弁護士会
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両性の平等に関する委員会
- 経歴
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福岡県立修猷館高校卒業
一橋大学法学部卒業
九州大学法科大学院修了
2009年 弁護士登録
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