奨学金の返済が苦しい場合自己破産できる?注意点も併せて解説
奨学金の返済が苦しくなり、自己破産を検討される方がいらっしゃいます。奨学金であっても自己破産の対象となるのかというご質問をよくいただきます。
結論を申し上げると奨学金であっても自己破産手続きを利用することができます。
本ページでは、奨学金の自己破産手続きを利用した際に、注意すべき点について詳しく解説をしていきます。
◆奨学金の自己破産
奨学金はどのような形態で貸与を受けたかにもよりますが、1.5%〜10%の範囲内で延滞金がつきます。
また、返済が滞った場合には、日本学生支援機構から委託を受けた債権回収会社から督促を受けることになります。
自己破産手続きとは、債務の返済について免責を受けるものであり、免責許可決定を得ることができると、奨学金の返済義務がなくなります。
しかしながら、自己破産にはデメリットが多く伴うため、奨学金の返済が苦しい場合であっても、事前にしっかりと検討する必要があります。
◆自己破産を利用する場合の注意点
●事故情報が登録される
自己破産を利用するとブラックリストに登録されてしまうという話を聞いたことがある方がいらっしゃると思います。
ブラックリストとは俗称であり、正確には信用情報機関の事故情報に記録が残ってしまうことを指します。
信用情報機関には、CIC、JICC、KSCの3種類があります。
基本的に自己破産の免責を受けた債務が奨学金だけの場合には、KSCに事故情報が登録されることになります。
奨学金以外にも債務がある場合には、その他の信用情報機関にも事故情報が登録されることとなります。
信用情報機関に事故情報が登録される期間は5〜10年となっています。
事故情報が登録されることのデメリットとしては、新たにクレジットカードを作成したり、ローンを組んだり、分割払いを利用できなくなってしまう可能性があるという点にあります。
◆一定の価値のある財産が処分される
自己破産を申立てた場合には、ある程度財産のある破産者であれば、その財産が処分され、各債権者に対して配当が行われます。
このように債権者への配当のために処分の対象となる財産を「破産財団」といいます。
他方で、自己破産を申し立てた後でも保有し続けることができる財産を「自由財産」といいます。
自己破産手続きというと、家のさまざまなものを差し押さえられるイメージがありますが、家具、家電、99万円以下の現金など、今後の生活に最低限必要なものに関しては、差し押さえの対象とはなりません。
◆職種が制限されてしまう
自己破産を利用した場合には、一定期間、宅地建物取引士、公認会計士、税理士などといった士業や、警備員、公証人、交通事故相談員、貸金業者などの職業に就くことができなくなります。
もっとも一定期間とあるように、一生その職業に就くことができないわけではなく、復権を得るまでの期間のみ制限されることになります。
免責許可決定を得て、決定が確定すると復権します。
◆連帯保証人が請求を受ける
奨学金を借りる場合には、保証人をつけることが求められ、機関保証を選ばなかった場合には、自分の両親や親族などが連帯保証人や保証人となっているというパターンが多くなっています。
もし、奨学金を借りた本人が自己破産をした場合であっても、連帯保証人や保証人に対する返済義務が消滅するわけではないため、本人の自己破産確定後は、連帯保証人や保証人に対して残債務の返済義務が発生してしまいます。
保証人には迷惑をかけたくないという方が大多数だと思われます。
その場合には、自己破産の検討をする前に、一度奨学金相談センターまで相談をし、減額返還制度や返還猶予制度が利用できないかについて確認をしてみましょう。
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