相続手続きの流れと期限
■相続手続きの大まかな流れ
相続手続きは、大まかにいえば、①前提となる情報の収集、②各相続人の意思決定、③所得税に関する手続き、④遺産分割方法の決定、⑤相続財産の名義変更、⑥相続税に関する手続きという流れで進んでいきます。
■相続手続きと期限
①前提となる情報の収集:期限なし
相続手続きを行うためには、誰が相続するのか、何を相続するのかを明確にする必要があります。そのため、被相続人の戸籍謄本から相続人を調べ、固定資産税評価証明書などから相続財産を調べます。
また、遺言書の有無によって相続手続きは大きく変わるため、遺言書についても最初の段階で調べておく必要があります。自筆証書遺言の場合は家庭裁判所での検認が必要になりますので、勝手に開封することのないよう注意しましょう。
②各相続人の意思決定:相続開始を知った時から3か月
相続人には、①通常通り相続する(単純承認)、②相続しない(相続放棄)、③正の相続財産の限度で負の相続財産を負担する(限定承認)という3つの選択肢があります。限定承認を行った場合、例えば2000万円の不動産と3000万円の借金を承継した相続人は、借金のうち2000万円の限度でのみ返還義務を負います。
相続放棄や限定承認を行うためには、相続開始を知った時(被相続人が亡くなったことを知った時)から3か月以内に家庭裁判所に申立てを行わなければならず、この期間を過ぎた場合、単純承認をしたものとみなされます。したがって、単純承認を選択する場合、家庭裁判所での手続きは不要となります。
③所得税に関する手続き:相続開始を知った時から4か月
被相続人に確定申告が必要だった場合、相続人がこれを行う必要があります(準確定申告)。準確定申告の対象期間はその年の1月1日から亡くなった日までとなりますが、前年度の確定申告が済んでいない場合、前年度の分の申告も行う必要があります。
準確定申告の期限は相続開始を知った時から4か月以内とされています。
④遺産分割方法の決定:期限なし
相続人が複数おり、かつ、遺産分割方法が遺言により指定されていない場合には、遺産分割協議が必要になります。遺産分割協議では、相続人全員の合意によって遺産分配の方法を決定します。
協議が完了したら、合意事項を記載の上、相続人全員で署名・押印して、遺産分割協議書を作成しましょう。
⑤相続財産の名義変更:期限なし
名義の登録のある財産を取得した相続人は、名義変更手続きを行います。例えば不動産を相続した人は、不動産相続登記を行う必要があります。
相続登記等の名義変更手続きには期限はありませんが、トラブルに巻き込まれることのないよう、早めに済ませてしまいましょう。
⑥相続税に関する手続き:相続を知った時から10か月
相続額が控除額を超え、相続税が課される場合、相続税申告と相続税の納付が必要になります。また、特別控除の適用により相続税が発生しなかった場合にも、相続税申告を行う必要があります。
これらの手続きは相続を知った時から10か月以内に行わなければなりません。期限を超過すると追加で課税されてしまう場合もありますので、早めから準備するようにしましょう。
羽田野総合法律事務所は、福岡市中央区で法律相談を承っております。初回相談は30分無料でお受けしておりますので、相続手続きに困っている方はお気軽にお問い合わせください。
当事務所が提供する基礎知識
Basic Knowledge
-
遺留分侵害額請求権と...
■遺留分侵害額請求権とは被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人には、遺留分が認められています。遺留分とは、法定相続人に保障された最低限の取り分のことをいいます。 遺留分が問題となるのは、被相続人が遺言書を作成してお […]
-
離婚裁判を起こすメリ...
離婚を決意した際、夫婦間の話し合いがまとまらない場合には、離婚裁判という選択肢があります。今回は、離婚裁判を起こすメリット・デメリット、そして流れについて詳しく解説します。離婚裁判のメリット離婚裁判には、以下のようなメリ […]
-
婚姻費用分担請求につ...
別居をされている方や、別居をお考えの方は、生活費についてお困りのことがあるのではないでしょうか。離婚の際には、財産分与を請求できることはよく知られていますが、実は別居の際には、「婚姻費用分担請求」をすることができます。& […]
-
相続人と連絡が取れな...
連絡の取れない相続人が1人でもいた場合、このままでは相続手続きを一切進めることができません。なぜなら、相続分について話し合う遺産分割協議は、相続人全員参加が条件に含まれます。そこで今回は、相続人と連絡が取れない場合の進め […]
-
性格の不一致による離...
日本人の離婚理由としてもっとも多いのが「性格の不一致」によるものとなっています。しかしながら、もっとも多い理由とはなっているものの、性格の不一致を理由に必ずしも離婚が成立するわけではありません。また、相手が離婚に応じてく […]
-
養育費の時効は何年?...
ひとり親としてお子様を育てることとなった方にとって、お子様をしっかり育てるために欠かすことのできないものの1つが養育費です。養育費は子どもを監護する親が有する権利です。もっとも、時効期間の経過によってその権利がなくなって […]
よく検索されるキーワード
Search Keyword
弁護士紹介
lawyer
羽田野 桜子はたの ようこ
1日も早くお悩みを解決し、依頼者様が日常を取り戻せるよう尽力いたします。
- 所属
-
福岡県弁護士会
子どもの権利委員会
両性の平等に関する委員会
- 経歴
-
福岡県立修猷館高校卒業
一橋大学法学部卒業
九州大学法科大学院修了
2009年 弁護士登録
事務所概要
Office Overview
名称 | 羽田野総合法律事務所 |
---|---|
弁護士 | 羽田野 桜子(はたの ようこ) |
所在地 | 〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名2-4-19 福岡赤坂ビル701号 |
連絡先 | TEL:092-715-5251 / FAX:092-715-2452 |
対応時間 | 平日 9:00~17:30 |
定休日 | 土・日・祝日 |
アクセス | 福岡市地下鉄空港線「赤坂駅」徒歩1分 |